ゴロ-の健康と糖質制限と栄養学の話

健康と糖質制限と栄養学について色々な話題を紹介します

栄養学最新動向(2) アミノ酸、ペプチドのもつ様々な可能性:呈味

どうもこんにちは、ゴローです。

 

最近、友人と食事内容について話をすることが多いでのですが、私目線からは信じられない食生活を送っていたりします。

塩分を毎日15g以上取っているとか、一人で夕食を食べるときはだいたいカップめんだとか(*_*)

 

上沼恵美子さんが食事の重要性について、テレビで以下のようにおっしゃっていました。

「一日3食食べるとしても、一生で食べられる食事の回数には限りがある。50,60になると、食べられる回数が本当に限られているので、絶対に適当なものを食べたくないんです。」

寺門ジモンさんも昨夜のテレビ番組で以下のように力説していました。

「食べ物だけなんです、本当に体のものになるのは。地位も名誉も土地もお金も、いずれ返さなきゃならない。だからこそ、本当にいいものを食べたい。」

 

何もグルメになりましょうというわけではありません。自らの体を作る食について、今よりももっと意識的になるべきではないでしょうか。

 

さて、今日の話題はアミノ酸・ペプチドについての最新情報をご紹介します。

D-アミノ酸の呈味

われわれの体を構成しているタンパク質はアミノ酸が多数結合してできたものですが、そのアミノ酸はほとんどすべてがL-アミノ酸です。DとLの違いは鏡像異性体と呼ばれるもので、右手と左手の関係に例えられます。右手と左手は形は同じですが、ぴったり重ね合わせることができません。人体を構成するアミノ酸の内、グリシンを除く19種類のアミノ酸には、このD体とL体の両方が存在します。

 

ちなみに、ほとんどの生物がもつタンパク質構成アミノ酸もL体ばかりですが、L体ばかりになった理由は解明されていません。

 

味を感じるアミノ酸としてはL-グルタミン酸ナトリウムの旨味はよく知られていますが、他のアミノ酸も様々な呈味を示します。自然界に存在するアミノ酸がL体がほとんどであることから、L-アミノ酸の呈味をはじめとする動態はよく研究されていますが、D-アミノ酸は1000分の1以下の存在量しかない上、D,L体の分離が難しいこともあって、研究が進んできませんでした。しかし、近年の分析技術の進歩により、詳しい動態を解析することが可能になってきました。

 

興味深いのはD,L体の化学的活性はほとんど同じなのに対し、全く違う呈味を示すことがほとんどです。先のグルタミン酸ナトリウムだと、L体は旨味、D体は微甘か無味、ロイシンならば、L体が苦味に対して、D体は甘みを示すなどです。さらに、D体は甘みを感じることが多く、砂糖に比して数倍から数十倍の甘みを持つこともあります。

 

現在使われている人工甘味料の多くはL-アミノ酸の誘導体ですが、安全性の問題や砂糖とは微妙に違う後味など課題も多くあります。

 

D-アミノ酸はまだまだ研究が始まったばかりなのですが、これらの問題を解決してくれる新規性があり、注目していきたいと思います。

 

ジペプチドの呈味

さて、もう一つはジペプチドについての話題です。

先の人工甘味料で良く使用されるものにアスパルテームと呼ばれるものがあります。

アスパルテーム - Wikipedia

これもジペプチド化合物のメチルエステル誘導体で、ショ糖の200倍の甘さを持つと言われています。

ジペプチドとはアミノ酸が2分子結合してできた物質であり、人体を構成するアミノ酸20種類からは計算上、400種類を超えるジペプチド化合物を作り出すことができます。

その利用は多岐にわたり、現在知られているだけでも人口甘味料や血圧降下剤などに活用されています。

 

最近の研究ではこの400種類を超えるジペプチド化合物をのうち、136種類を網羅的に調べ、その中で塩味を感じるジペプチドの可能性について探った記事がありました。

 

塩分の摂取量が一日当たり17gを超えてくると、血管系疾患のリスクが上がることは先日ご紹介しましたが、すでに高血圧症や心臓疾患を抱える人にとっては、一日の塩分摂取量を厳しい場合で3g以下に制限されることもあります。

塩気のない食事は満足感が薄く、食事すること自体が楽しみでなくなるどころかストレスにまでなってしまう恐れがあります。

そこで、ジペプチドによる塩味付加によって、食事の塩分量を制限したまま、塩気をプラスできる可能性がでてきました。

具体的な物質はメチオニングリシンのジペプチドを0.05%添加することで、0.6%の食塩水が0.65%程度の塩分濃度に塩味強化ができるようです。

実は塩味は受容から知覚するに至るまでのメカニズムがほとんど解明されていない味覚で、この塩味強化のメカニズムも現在のところ未解明なのですが、事実として呈味を増強できる、しかも、L-アミノ酸のジペプチドなので、安全性についてもかなりの期待ができるのではないでしょうか。人工甘味料ならぬ、人工塩味料が近いうちに登場するかもしれません。

 

(参考文献:化学と生物2015年1月号、同2017年3月号)

 

私たちの体を構成するアミノ酸の可能性について、今回は呈味にフォーカスしてご紹介しました。他にも様々な機能性を秘めているアミノ酸・ペプチドについて、今後も最新情報をご紹介していきたいと思います。

 

ゴロー