ゴロ-の健康と糖質制限と栄養学の話

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健康に役立つ栄養学(7) 糖尿病を正しく理解するその1

どうもこんにちは、ゴローです。

 

日曜日の夜は家族でウナギを食べに行きました。

回転寿司でたまに食べますが、国産ウナギのうな重は別格でした。

うちの近くのお店なんですが、ご主人の心臓が悪くて、ずっと休業されてたんです。

大変だったようですが、おいしいウナギを焼けるまでに無事復活されて、うれしいですね。

 

糖尿病を取り巻く現状

さて、心疾患と糖尿病は切っても切れない関連性があります。

糖尿病による動脈硬化が心疾患の大きなリスクファクターであるからです。

そこで、糖尿病の患者数が全国でどれぐらいいらっしゃるかご存知でしょうか。

 

 

糖尿病の総患者数は316万6,000人 厚生労働省「平成26年患者調査の概況 」より | 生活習慣病の調査・統計 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

糖尿病 | 生活習慣病の調査・統計 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

 

上記調査は3年毎で、前回調査時より46万人増えているので、単純計算で年間15万人が新たにり患していることになります。同じ記事からのリンクのサムネイルを見るだけで、以下の情報が読み取れます。糖尿病疑いは男女別で男15.5%、女性で9.8%、年間の医療費は1兆2196億円、 死亡者は13,000人以上、透析患者は32万人(このうち4割は糖尿病性腎症とのこと)、予備軍は1000万人に上るとも言われており、国民の10に1人は糖尿病、あるいはその予備軍です。まさしく、国民病と言える疾患なのです。

 

糖尿病で怖いのは合併症で、特に糖尿病性網膜症は緑内障からの失明につながり、糖尿病性腎症は人工透析を必要とする性質上、QOL(クオリティオブライフ、生活の質)が極端に落ち、いわゆる余命宣告のようなもので、予後もよくありません。動脈硬化による心疾患、脳卒中の発病リスクは3~4倍、アルツハイマーの発病リスクが4倍以上、がんの発病リスクも部位により差がありますが、概ね2倍以上、死ぬまでにかかる医療費が830万円で、その半数が合併症によるものです。ここでいう合併症にがんやアルツハイマーは含まれていないので、実質はもっとかかっています。

 

がんで亡くなる人は3人に1人、生涯での罹患割合は2人に1人、これと比べるとたいしたことないように思えますが、QOLの低下を招くのが最大の問題です。人工透析や失明、アルツハイマーともなれば、本人だけでなく家族にも大きく影響するので、その損失は計り知れません。

糖尿病とはどのような病気か

名前のごとく尿中に糖が検出されることから命名されましたが、尿中に糖が検出されるのは糖尿病でない健常者でもあり得る話です。というか、糖尿病でそこまで進んでいるころには、体内で恐ろしい事態になってしまっています。

 

糖尿病患者のことを端的に表した言葉として、栄養失調のデブ、ということがあります。どういうことでしょうか。

 

1型糖尿病は先天的、または後天的に膵臓のランゲルハンス島B細胞が失われ、インスリンの分泌が全くない状態を指します。前回お話ししたとおり、インスリンの分泌が無い=糖を細胞内に取り込めない=死ですので、一生インスリンを打ち続けることになります。この場合は生活習慣が原因ではありません。このブログでの糖尿病とは、2型糖尿病のことを指します。(2型から1型へシフトする場合もありますが)

 

2型糖尿病とは生活習慣が原因で、インスリンの分泌が極端に少ない、または、正常に分泌されていても、インスリンが効かない状態を指します。

インスリンは別名同化ホルモンと言います。(肥満ホルモンなんていう言い方もありますが、それはインスリンを正しく理解していない、誤った言い換えです。)

 

gorogorogoro.hatenablog.com

 

上の前回の記事でもお話ししたとおり、インスリンの主な働きは

  • GULT4励起による細胞内への糖の取り込み促進

他にも

  • 脂肪細胞での脂肪合成促進、分解抑制
  • 骨格筋へのアミノ酸取り込み促進
  • 細胞でのタンパク質の合成促進
  • 細胞の増殖促進
  • グリコーゲンの合成促進、分解抑制

など様々です。これらの働きは同化といって、体内に必要な物質を取り込んで、利用するために必要不可欠な働きです。筋肉が太くなるのも、細胞が増えて、大きくなることなので、インスリンがないとできないのです。もちろん、脂肪が増えるのも同じ機構で行われているため、この部分だけを切り取って解釈すれば、肥満ホルモンなどという言い方も出来なくはないでしょう。

 

インスリンが分泌されない、または効かないということは、これらの逆の反応=異化が亢進することになります。つまり、体の中に必要な物質を留めておくことができなくなります。糖が細胞に回らないので、肝臓での糖新生が亢進し、血糖が上がります。

しかし、糖を取り込むことができなくなってるので、血糖はますます上がります。糖新生の原料は筋肉、体重の減少が顕著になってきます。

インスリンが効かないということは、細胞の増殖も十分にされないので、なんと、インスリンを分泌するB細胞自身も増えることはできません。細胞が減るとインスリンはますます分泌されなくなり、さらに、細胞が増えないということは、糖を取り込む容量も少なくなっているので、高血糖に拍車がかかります。

 

高血糖で血管への障害がいたるところで発生し、血管が破れます。破れた血管の修復にコレステロールがやってきますが、これと血糖がくっついて、動脈硬化へ。しかし、前述の通り細胞が増えないので、うまく治せないのです。毛細血管での血管障害が目で起これば、網膜症、四肢の末端で起これば壊死が発生します。

腎臓で再吸収できなくなった糖が尿中に排出されます。ここでようやく糖尿がでてきます。慢性的な栄養不足状態(実際には高血糖)になると、今度は脂肪がどんどん分解され、脂肪分解物のケトン体が高濃度へ、血液が酸性側へ傾きだすと、糖尿病性ケトアシドーシスとなり、命に危険が及びます。

 

たいていはケトアシドーシスより前に、体調不良と言う形で病院を受診、糖尿病発覚→治療へいくのですが、行きつく先は合併症です。

 

糖質制限食はこの合併症予防に一定の効果があります。ずっと続ければ、合併症を死ぬまで防げる可能性はあると思います。

 

ですが、糖質制限食で糖尿病を治癒することは難しいでしょう。

ここでいう治癒とは糖質を摂取しても、血糖値が爆上がりしない状態のことを指します。

すなわち、インスリンの分泌が正常で、効きもちゃんとしている状態のことです。

病院での治療は合併症の予防がメインで、糖尿病は治せないというお医者さんも多くいます。でも、わたしはそうは思えません。糖尿病の発病機構にそのヒントがあると、私は考えます。

 

次回は糖尿病が治る可能性について言及したいと思います。

 

ゴロー

 

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