ゴロ-の健康と糖質制限と栄養学の話

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健康に役立つ栄養学(11)カロリーの真実その1

どうもこんにちは、ゴローです。

 

仕事が休みの毎週金曜日はチートデイです。

栄養や食事に気を付けている私ですが、金曜日は特に何も気にせず、好きなものを食べたいだけ食べる日です。

それでも小麦だけは食べません。食べた日の夜は本当にかゆみが止まらなくなるので。

とはいえ、20代の頃と比べると、食べられる量はグッと減りましたけどね(笑)

 

ついつい食べ過ぎて気になるのがカロリー。

今日の話題は、カロリーの真実についてです。

 カロリーの定義

生理的熱量 - Wikipedia

毎度おなじみWikipediaによると、カロリーで検索すると熱力学のカロリーの項目が出てきます。栄養学的なカロリーはこちらの生理的熱量に記述があります。

すなわち、熱力学的カロリーと栄養学的カロリーは同じ単位を使っているものの、違うと言う事です。

 

 

中学の時に習ったことを覚えている方もいるでしょうが、熱力学的カロリーの定義については以下の通り、

 「1カロリーは質量1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量」

とされています。

 

一方で、栄養学的カロリーの定義は

  1. 酸素消費からの定義。
  2. 食物を燃やして得られる熱量による定義。
  3. 放出熱量からの定義。
  4. 分子化学的機序からの定義。

 

なんと、定義が4つもあるのです。実はこの時点で栄養学的カロリーがとてつもなく曖昧なものであるというのがわかります。

 

それもそのはずで、人体と言う複雑極まりない系に出入りする熱量を厳密に測定することなど、不可能に近いからです。ゆえに、栄養学的カロリー関して論ずる場合、このうちのどれかに従って比較検討することにした、ということです。

 

我々が普段、食べ物のカロリーとして採用しているのは、2.の定義に補正をかけたもので、一般にはそれぞれ1gあたり、炭水化物で4キロカロリー、タンパク質で同じく4キロカロリー、脂質で9キロカロリーとして計算しています。

 

カロリー神話の崩壊

これらの「数字」を詳しくみていきましょう。

2.の定義は食べる前の熱力学的カロリーとその排泄物の熱力学的カロリーの差で、1883年にアメリカのルブネル定義されました。補正とは、同じくルブネルとアトウォーターによって吸収率、排泄熱の差を考慮し、算定したのがこれらの数字です。

 

今から100年以上前に考えられた定義で、このころの栄養学は医学の一部の生理学のこれまた一部程度の学問で、無きに等しい時代でした。

 

熱力学的エネルギー保存の法則から燃焼と代謝によって得られる熱量が交換できると考えて作られた定義ですが、私はこの定義に大きな疑問を感じます。

 

燃焼とは物質が酸素と結びつくことで、反応系としてはごくごく単純で、閉じた系であれば、その燃焼熱の測定はある程度正確にできます。しかし、代謝は酸素との結合を含めた様々な化学反応を統合して考えなければいけません。

 

代謝系がどれくらい解明されたのかすらわかっていないので、単純な熱量交換をすることができるとは思えません。

 

また、「摂取前の食物を燃焼させた熱量と、排泄物を燃焼させた熱量を比較した」時点で、人体の物質の入れ替わりの点が全く考慮されておらず、疑問を呈さざるを得ません。食べたもの、そのすべての物質が人体に利用されているのでしょうか。

 

答えはもちろんノーですね。

 

腸内には100兆を超える腸内細菌が生息しています。これら腸内細菌の主な栄養源は当然、ヒトが摂取した食物です。100兆と言う数字がピンとこないかもしれませんが、人体の細胞数が約37兆個(ちょっと前までは60兆個と言われていましたが、最近になって修正されました)、また、大便の6割が腸内細菌の死骸と言えば、その数が膨大なものであることがわかると思います。

 

先の排泄物を燃焼させた熱量の内、6割は腸内細菌の死骸を燃焼させた熱量です。しかも、仮に炭水化物のみを摂取したとして、腸内細菌が炭水化物のみで構成されているのかというと、あり得ません。むしろ炭水化物は少なく、そのほとんどがタンパク質と核酸です。

炭水化物のみを摂取すればタンパク質が不足します。細菌はタンパク質が不足すれば、その辺にある他の微生物の死骸や、腸内壁のはがれた細胞などから調達しています。

 

ゆえに、排泄物を燃焼させると言う事は、摂取した分と吸収した分との差を取っていないばかりか、もともと人体内にあったものを燃焼させていることになるので、一体全体何を測定しているのか、全くもって不明です。

 

現在は、4.の分子化学的機序からの定義によって、より厳密に推定(それでも推定)できるようになりましたが、いまだにこの古い定義を用いて、食品のカロリーの議論がなされています。

 

以上のことから、私はこの炭水化物4キロカロリー、タンパク質4キロカロリー、脂質9キロカロリーという数字には科学的根拠がまったくなく、現在の食品のカロリーという考え方そのものが破たんしていると考えます。

 

運動のカロリー≠食品のカロリー

一方で、運動によって消費されるカロリーも甚だ疑問です。運動による消費カロリーは先の定義の1と3を複合して考えられているようです。これもルネブルによって提唱された古い考え方で、輻射熱の有無や気温、湿度などの外的条件、代謝能や筋肉量などの内的条件が異なれば無視できない範囲で消費カロリーが変化するはずです。

このあたりのパラメータも含めた消費カロリーの計算式も存在するようですが、内的条件はともかく、外的条件も含めると影響する要因が多すぎて、定量化することはほとんど不可能に近いでしょう。

そんなものを研究・勉強したところで全くの無駄なので、その時間分、少しでも実際に運動した方がよほど健康のためにいいと思います(笑)。

 

そもそも運動で消費される熱量と基礎代謝で消費される酸素量を運動量、時間帯で区切ることなど出来っこないので、運動で消費した酸素量をどうやって測定したのか謎です。

ウォーキング1時間で200キロカロリーが消費されますだとか、水泳だと500キロカロリーですなどという議論の際に、どの様に消費カロリーを測定したのかが示されている例は見たことが無く、机上の空論でしかありません。もっともらしく聞こえますが、数字での比較は全く科学的ではないですね。

単位時間当たりの運動量が大きいからウォーキングより水泳の方がカロリー消費量は多いでしょう、ぐらいにしか言えないのでは。

 

 

また、ここまでお読みいただいた方はお分かりかと思いますが、定義があいまい過ぎる上、食品のカロリーと運動のカロリーは定義が違うので、等価のものとして、比較検討することそのものが全く無意味なものです。

よく言われるのが、「摂取カロリー<消費カロリーにすれば必ず痩せる」というのも、

必ずしもそうではないということです。

同じ単位であるから、無意識のうちに比較して考えてしまうのですが、異なるものと考えなければいけません。

「いつもより炭水化物を100g多く食べたけど、水泳1時間でチャラ♪」

なんて考え方だと、確実にデブまっしぐらであると言っておきましょう。

 

 

「カロリー」の功績

ルネブルが定義した「カロリー」は当時としては画期的なもので、統計的な資料から、人体に最低限必要な食物量を定量化することができたのは間違いなく、大変重要な考え方です。貧困地域での摂取エネルギー改善施策の際にこの考え方を導入することで、多くの命が救われたことでしょう。

また、摂取カロリー別の統計的な調査から、摂取カロリーが多いと、肥満が増え、健康に悪影響を及ぼすこともわかりました。これも紛れもなく「カロリー」の功績です。

 

このように「カロリー」と言う指標は、統計的な分析を行うにはある程度信頼できるのは間違いありません。 しかし、残念ながら科学的観点から考えたときに、人体のエネルギーの出入りを厳密に検討するには不向きな指標であると言えるでしょう。肥満防止やダイエットにも応用できるほど万能ではなかったのです。

 

私は「カロリー」にありがとうと感謝を込めて、栄養学からはさようならを言いたいと思います。

 

次回はカロリーに代わる摂取エネルギーと消費エネルギーについて、新たな考え方を提言し、そこからどうすれば肥満を防げるのかについてお話したいと思います。

 

「摂取カロリー<消費カロリーであれば痩せる」は正確には「摂取し、吸収した分から発生する熱量<消費した熱量であれば痩せる」ということですが、これがそう単純ではないんですねえ・・・。

 

 

ゴロー

 

 

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